企業分析

倒産企業分析 7312 タカタ 第14期

投稿日:2019年7月27日 更新日:

財務分析(Financial analysis)

損益計算書(PL)

  12期 13期 14期
売上高
(Sales)
642,810 718,003 662,533
売上原価
(Cost of goods sold)
538,372 594,835 545,420
粗利益率
(Gross margin)
16.2% 17.1% 17.8%
販管費
(Selling)
71,480 81,035 78,154
売上高営業利益率
(Operating profit margin)
5.1% 5.9% 5.9%
純利益
(Net income)
-29,426 -12,709 -78,593
売上高純利益率
(Net sales to sales ratio)

売上高に対する営業利益率は、少ないながらも出し続けられている状況です。しかし、最終的な純利益はマイナスが続いています。

 

この状況ですが、特別損失を見るとその理由が確認できます。

  12期 13期 14期
製品保証引当金繰入額
(Provision of product warranty allowance)
52,694 16,641
リコール関連損失
(Recall related loss)
13,559 15,631
司法取引関連損失
(Legal transaction related loss)
97,545
減損損失
(Impairment loss)
11,534

製品保証引当金は、販売した製品のリコールに備えておくためのお金です。次のリコール関連損失は項目名の通り、リコールに関連した損失です。司法取引関連損失は、裁判に関連して発生した損失。そして減損損失は製品の販売価格が下落したときなどに計上されます。

 

いずれもエアバッグ問題に関連する損失により、継続して純利益がマイナスになっている状況です。

 

貸借対照表(BS)

  12期 13期 14期
自己資本比率
(Capital adequacy ratio)
31.0% 27.5% 7.0%
自己資本利益率
(ROE)
-18.3% -9.7% -104.7%

自己資本比率が急速に低下していっているのが分かります。また、ROEに至っては純利益がマイナスのため、当然ながら常にマイナスとなっています。

 

以下、流動資産と流動負債の推移です。

  12期 13期 14期
流動資産
(current assets)
313,522 300,756 318,986
現金及び預金
(Cash and deposits)
69,125 53,712 74,767
流動負債
(Current Liabilities)
232,466 235,062 340,693

流動資産と流動負債は1年以内に発生する現金と返済を表しますが、流動資産と流動負債の額がほとんど同じ額で、十分な返済能力があるとは言えない状況です。

 

とくに、すぐにでも返済に充てられる現金及び預金の科目だけに着目すると、あまりにも低い水準であることが分かります。

 

キャッシュフロー計算書(CS)

  12期 13期 14期
営業活動によるキャッシュフロー
(Cash flows from operating activities)
3,831 8,576 8,954
投資活動によるキャッシュフロー
(Cash flows from investing activities)
-33,672 -22,643 11,844
財務活動によるキャッシュフロー
(Cash flows from financing activities)
-4,609 -378 -85

営業利益によるキャッシュフローが相対的に少ない状況です。本業からの現金収入が不十分な状況であることが分かります。

 

14期については、投資活動によるキャッシュフローがプラスになっています。ここだけなぜプラスになっているのかを確認してみると、「連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入」が200億程度計上されています。

 

資金繰りに窮している状況がうかがえます。

 

まとめ

タカタといえばエアバッグ、シートベルトを展開する世界トップメーカーです。「潰れるわけがない」と思っていた人もいるのではないでしょうか。

 

しかし、そんな企業であっても経営破綻することがあるということが事実を持って証明されました。そして、その予兆は財務諸表を見ると何期も前から見えていたということになります。

 

個別銘柄に投資をするのであれば、やはり財務諸表に目を通すことは大切だなと感じました。

 

また、過去に経営破綻に追い込まれた企業の事例を財務諸表をベースに見ることによって、危険な予兆を見抜くことができるのだと思います。

 

今後、そのような過去に経営破綻に追い込まれた企業の分析も記事にしていこうと考えています。

 

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