企業分析

企業分析 5013 ユシロ化学工業 第86期

投稿日:

保有銘柄や気になる銘柄を中心に有価証券報告書の内容を確認して気になった点などをまとめます。

 

2019年6月26日、ユシロ化学工業(5013)第86期の有価証券報告書が提出されました。

 

※記事に記載している数字について、特に記載がない限りは全て[千円]です。

 

前期以前から継続して分析している企業です。

企業分析 5013 ユシロ化学工業 第85期

 

財務分析

売上高、売上原価、粗利益、純利益、売上高純利益率

  第82期 第83期 第84期 第85期 第86期
売上高 29,061 30,660 29,605 31,565 35,170
売上原価 20,934 21,390 19,939 21,473 24,576
粗利益 28% 30% 33% 32% 30%
純利益 2,021 2,334 2,157 2,510 1,991
売上高純利益率 7.0% 7.6% 7.3% 8.0% 5.7%

粗利益は30%前半の水準で推移しています。粗利益30%は特別大きな水準ではありませんが、ある程度の付加価値をもった製品を提供できている状態と考えています。

 

売上高純利益率をみると、前期までは7~8%で推移していた水準が、今期は5.7%と、これまでにない振れ幅で下がっています。

 

これについて損益計算書をよく見てみると、今期、販管費の上昇が大きいことが分かります。

  第82期 第83期 第84期 第85期 第86期
販管費 6,557 7,120 7,229 7,589 8,518

 

これらについて有価証券報告書を詳細に見てみると、販管費については「給与及び手当」や「研究開発費」が前期に比べると大きく増えているように見えます。

 

この変化が何かしらの影響を与えるのか、また何か見落としているところがあるのかについて、勉強不足な今の僕では判断できませんでしたが、いずれにしても数字が動いた部分(変化があった部分)については注視しておく必要があると考えています。

 

自己資本比率、自己資本利益率(ROE)

  第82期 第83期 第84期 第85期 第86期
自己資本比率 71% 68% 68% 69% 61%
ROE 6.6% 7.4% 6.2% 7.7% 5.7%

自己資本比率について、下降傾向なのが気にはなりますが高い水準で推移しています。

 

ROEについて、今期は5%台になりました。これまでの推移からみても明らかに下落しています。利益率としては物足りない水準です。

 

のれん

86期、アメリカの同業企業をM&Aにより取得しています。このため貸借対象表の科目に「のれん」が計上されています。

 

額としては2421[百万円]。

 

有価証券報告書によると、これを13年以内に定額法によって償却すると記載されています。このため、この期間については損益計算書に減価償却費として計上されることになります。

 

まとめ

今期の決算を利益の面からみると「物足りない水準」という印象を受けます。

 

ユシロ化学工業は86期、アメリカの同業企業をM&Aにより取得しています。この企業は航空機の分野に営業網をもっているため、ユシロ化学工業としては自動車産業以外の業界に参入するきっかけとなることをもくろんでいると思います。

 

また、新分野として売り出しているウィザードゲルもあります。こちらも「nano tech 2019」に出店をするなど売り出しをかけているようです。

 

今まさに、今後の企業成長の行方を占う重大局面なのだと思います。

 

-企業分析
-, ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

【倒産しない企業選定】在庫管理と負債規模の重要性【イーター電機工業(6891) 第37期】

投資家にとって、株を保有する企業の倒産は最悪の結果と言えます。 これを未然に見抜くためには、倒産する企業がどのような財務状況に陥るのかを把握し、保有株の財務状況を監視する必要があります。 倒産する企業 …

【アクシーズ(1381) 第57期】健全な財務体質と安定した利益の先に見え隠れする成長性の不安

2019年9月19日、アクシーズ(1381)の第57期有価証券報告書が提出されました。 今回は有価証券報告書の内容をもとにアクシーズの状況をみてみます。 ポイントは以下の3点です。 減益転落だが利益は …

【フレアス(7062) 第17期】健全な財務に見えるが、上場直後で読めない真の実力

2019年6月26日、フレアス(7062)の第17期有価証券報告書が提出されました。 フレアスはマッサージ事業・訪問看護・訪問看護事業を全国に展開する企業です。2019年に上場しました。 今回は有価証 …

【MS&CONSULTING(6555)第8期】財務諸表で見る!生まれたてのコンサル企業に圧し掛かる「のれん」

2020年5月25日、MS&CONSULTING(6555)の第8期 有価証券報告書が出ました。 MS&CONSULTINGは上場して3期目。まだまだ日の浅い企業です。外食産業を主要顧 …

【日本たばこ産業(2914) 第34期】高配当・安定的な利益の奥で進む「のれん」の巨大化 

2019年3月20日、日本たばこ産業(JT)(2914)の第34期の有価証券報告書が提出されました。 JTはたばこ並びに医薬品、食品・飲料を製造・販売する企業です。 高配当銘柄で知られる日本たばこ産業 …