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企業分析 5013 ユシロ化学工業 第85期

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保有銘柄や気になる銘柄を中心に有価証券報告書の内容を確認して気になった点などをまとめます。

 

ユシロ化学工業(5013)の第85期の有価証券報告書が提出されました。

 

※記事に記載している数字について、特に記載がない限りは全て[百万円]です。

 

概要

事業内容

金属加工油剤、ビルメンテナンス製品の生産・販売をしています。

 

金属加工油剤については特に切削油剤に強く、日系自動車メーカーを相手に大きなシェアを持っています。

 

日系自動車メーカーが海外進出するのに合わせて海外進出を進めてきた経緯から、海外売上比率が高いという特徴があります。

 

事業の特徴・差別化・付加価値

特に国内自動車メーカーの切削油剤では6割のシェアを持っています。

 

製品をただ売って終わるだけではなく、その後のアフタフォローも含めたカスタマーインティマシーを得意としています。

 

不安要素

国内自動車メーカーの切削油剤に対して大きなシェアを持っていますが、逆に言うと切削油剤に対する依存度が高いとも言えます。

 

また国内自動車メーカーとの取引が多いことから、国内自動車メーカーの業績に引っ張られる傾向がありそうです。

 

また主要製品の主原料がオイルのため、原油価格の影響を大きく受けます。

 

損益計算書

売上高、売上原価、粗利益、売上高純利益率

  第82期 第83期 第84期 第85期
売上高 29,061 30,660 29,605 31,565
売上原価 20,934 21,391 19,939 21,413
粗利益 28% 30% 33% 32%
純利益 2,021 2,334 2,157 2510
売上高純利益率 7% 8% 7% 8%

粗利益は30%程度、売上純利益率は8%前後となっており、継続的にまずまずの利益を出しています。

 

貸借対照表

現金及び預金、棚卸資産、売掛金

  第82期 第83期 第84期 第85期
現金及び預金 6,010 6,609 8,177 8,439
棚卸資産 3,678 3,265 3,219 3,692
売掛金 5,694 5,802 6,021 6,598

棚卸資産、売掛金ともに大きな変化はなく、特質して変わったことは起きていないように見えます。

 

自己資本比率、ROE

  第82期 第83期 第84期 第85期
自己資本比率 76% 89% 72% 73%
ROE 7% 8% 7% 8%

自己資本比率は総じて高く、負債が少なくリスクに強い財務状況になっていると言えます。一方、自己資本に対する利益を見るROEは7、8%と少し物足りない水準です。

 

リスクをとって成長を目指すより、堅実に経営することを方針としているような印象を受けます。

 

自己資本比率とROEは反比例する傾向がありますが、製品の付加価値を高める、または原材料費や経費を抑えるなどが進めば、自己資本比率は現状のまま、ROEが高まっていくような変化がみられるはずですので、今後の経過をチェックする際のポイントになると思います。

 

まとめ

日系自動車メーカーで6割というシェアは大きなポイントだと思います。メーカーに関わらず日本の自動車が売れれば売上につながります。

 

またカスタマーインティマシーを得意としているということから、単なる製品メーカーという立場ではなく、顧客との関係性のうえにビジネスが成り立っていると考えられ、価格競争に巻き込まれにくい立場にあると推測しています。

 

財務諸表の内容を確認すると、利益率や成長性の面からも取り分けて素晴らしい点は感じられませんが、しっかりと堅実に稼いでいるといった印象を受けます。

 

ただし不安要素でも記載したとおり、海外展開しているとはいえ日系自動車メーカーに依存している点、金属加工油剤への依存が大きい点が気になります。

 

個人的には、今後これら不安要素に対する会社の取り組みがあるのかを気にしています。

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