企業分析

企業分析 6555 MS&CONSULTING 第6期

投稿日:

保有銘柄や気になる銘柄を中心に有価証券報告書の内容を確認して気になった点などをまとめます。

 

MS&CONSULTING(6555)の第6期の有価証券報告書が提出されました。

 

※記事に記載している数字について、特に記載がない限りは全て[千円]です。

 

概要

事業内容

顧客企業のサービスプロフィットチェーン経営の実現に向け、顧客満足度(CS)・従業員満足度(ES)の向上によるサービスの高品質化・高付加価値化を目的とした経営コンサルティングを行っている。

 

柱となるサービスは顧客満足度覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ(MSR)」。

従業員満足度調査「サービスチーム力調査」およびコンサルティング・研修などの各種サービスを提供。

 

事業の特徴・差別化・付加価値

ミステリーショッピングリサーチ (MSR)

モニターが依頼を受けた後に実際にサービスを体験し、その結果としてモニターが提出するレポートも選択式に評価する形式ではなく、自由記入のコメントを多用した調査票を導入している(お客様の生の声が聞ける)。

 

モニターのランク付けや提出レポートの評価など、モニターの教育にも力をいれている。

 

モニター人数は約44万人と業界トップ。

 

サービスチーム力診断

過去累計51万件の調査実績があり、ここから得られる蓄積データをもとにしたコンサルティング・研修の提供までをサポートしている。

 

コンサルティング・研修

MSRやサービスチーム力診断調査、またその結果にもとづくコンサルティング・研修をワンストップで提供できるノウハウを有している。

 

不安要素

MSR事業の単一セグメントのため、MSR事業に問題や業績低迷が発生すると影響が甚大になる可能性がある。

 

現時点では業界トップのモニター数を誇るているが、競合他社が参入している(参入障壁が低い)

 

ストックオプションを利用しているため、権利行使による株価の希釈化が発生する可能性がある。

 

上場して間もないため、過去の実績から評価することが困難。(2017年10月上場)

 

損益計算書

売上高、売上原価、粗利益、売上高純利益率

売上収益:2,810,524

売上原価:1,604,479

粗利益率:43%

売上高純利益率:13%

 

粗利益率は40%を超えています。粗利益率は原材料(売上原価)に対して会社が加えた付加価値と捉えることができますが、まずまずの数字だと思います。

 

また、売上高純利益率が10%を超えており、利益を出しやすいサービスを提供しているといえると思います。

 

貸借対照表

棚卸資産

棚卸資産に該当する科目合計は2,983[千円]と他の科目と比べて額が少なく、モノとしての商品、製品がなく、いわゆる在庫を持たなくてもよいビジネスだということが分かります。

 

自己資本比率

自己資本比率は約80%とかなり高く、負債がほとんどない状態で財務状況は健全なようです。

 

のれん

のれんとして2,223,891[千円]が計上されています。この会社は国際会計基準(IFRS)を採用しているようですので、のれんは減価償却されないはずです。業績が悪化した場合は減損が発生する可能性がありそうです。

 

ROE

ROEを計算すると13%。利益率は良さそうです。

 

まとめ

まず有価証券報告書を見てみた感想として、報告書の内容がとても濃いものに感じました。事業の内容、特徴、リスクそれぞれに対して細かく説明している感じでよい印象を受けました。

 

従業員不足や働き方改革が叫ばれる昨今、従業員満足度は重要なポイントになってくると考えています。また、飲食店などでは今後のインバウンドによる集客を考えると、この会社が展開しているインバウンド向けMSRも面白いサービスだと思います。

 

また、この会社がやっている事業ですが、顧客目線の意見を知るのとともに、従業員の満足度も上げようとするものです。これらによって店のサービス及び接客が改善すると顧客満足度も上がり売上も上がるはずです。そして売上が上がると昇給にも繋がり、さらなる従業員満足度の向上にも繋がるはずです。

 

まさにWin-Winの関係を築ける事業だと考えています。

 

懸念点ですが、現状、単一事業のみで勝負しているにもかかわらず参入障壁が低い点が大きいと考えています。ひとたび業績が傾けば、会社全体が揺らいでしまいかねないリスクがあると思います。上場からの日も浅く、今後を読みにくい点もあります。

 

まだまだ不安材料が存在している状況ですが、個人的には応援したい企業のため、今後の状況を注意深く見ていきながら株式の追加購入も検討したいと考えています。

-企業分析
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

企業分析 5013 ユシロ化学工業 第85期

保有銘柄や気になる銘柄を中心に有価証券報告書の内容を確認して気になった点などをまとめます。   ユシロ化学工業(5013)の第85期の有価証券報告書が提出されました。   ※記事に …

【日本たばこ産業(2914) 第34期】高配当・安定的な利益の奥で進む「のれん」の巨大化 

2019年3月20日、日本たばこ産業(JT)(2914)の第34期の有価証券報告書が提出されました。 JTはたばこ並びに医薬品、食品・飲料を製造・販売する企業です。 高配当銘柄で知られる日本たばこ産業 …

【MS&CONSULTING(6555)第8期】財務諸表で見る!生まれたてのコンサル企業に圧し掛かる「のれん」

2020年5月25日、MS&CONSULTING(6555)の第8期 有価証券報告書が出ました。 MS&CONSULTINGは上場して3期目。まだまだ日の浅い企業です。外食産業を主要顧 …

企業分析 6999 KOA 第91期

保有銘柄や気になる銘柄を中心に有価証券報告書の内容を確認して気になった点などをまとめます。 2019年6月20日、KOA(6999)の第91期の有価証券報告書が提出されました。 ※記事に記載している数 …

【ディップ(2379) 第22期】労働力不足が後押しする高成長と気になる投資戦略

2019年5月30日、ディップ(2379)の第22期有価証券報告書が提出されました。 ディップは「バイトル」に代表される求人サイトを運営する企業です。今回は有価証券報告書の内容をもとにディップの状況を …