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企業分析 2193 クックパッド 第22期

投稿日:2019年4月20日 更新日:

僕が保有している銘柄や気になる銘柄を中心に有価証券報告書の内容を確認して気になった点などをまとめます。

 

クックパッド(2193)の第22期の有価証券報告書が提出されました。

※記事に記載している数字について、特に記載がない限りは全て[千円]です。

 

損益計算書

売上高、売上原価、粗利益

  18期 19期 20期 21期 22期
売上高 6,702,015 14,716,373 16,845,658 13,408,060 11,876,170
売上原価 409,083 1,410,516 837,543 324,934 125,942
粗利益 94% 90% 95% 98% 99%

粗利益率の高さには驚きます。売り上げを上げるのに必要な原材料やサービスを用意するためのコストが売上高にたいしてほとんどかかっていないことが分かります。

 

クックパッドはレシピサイトという仕組みを提供するビジネスモデルです。レシピの提供も、提供されたレシピの利用もクックパッドは用意する必要がありません。

 

非常に効率的に稼げる仕組みを構築できているといえると思います。

販管費

  18期 19期

20期

21期 22期
販管費 3,613,685 7,110,736 7,485,674 6,950,941 9,544,028

販管費は商品やサービスを販売するために必要な費用や、会社を維持するために必要な費用あり、売上高の増加に伴って増大していく傾向があるはずです。

 

しかし第22期をみると、売上高は大幅に減少しているのに対して販管費は大幅に増加しています。これまで通りの会社運営とは異なる動きが発生したサインに見えます。

 

ここのところの競合他社の進出により、苦戦を強いられている状況が見えてきます。

 

純利益

  18期 19期 20期 21期 22期
純利益 1,531,920 4,107,364 1,028,476 3,489,261 120,825

前期までのふり幅の大きな純利益の推移ですが、特に今期の落ち込みは顕著です。

 

貸借対照表

利益剰余金

  18期 19期 20期 21期 22期
利益剰余金 7,212,613 10,597,299 10,466,781 12,880,771 12,428,820

21期に比べて22期は減少しているものの、貸借対照表の他の科目に比べても利益剰余金の金額の大きさが目立ちます。しっかりと利益を積み上げられてきているということが分かります。

 

ROE

  18期 19期 20期 21期 22期
ROE 8.5% 19.5% 4.9% 14.8% 0.5%

株価が大きく下がっている22期については1%を割り込んでいる状況ではありますが、5期分のROEを並べてみるとかなり期ごとの変動が大きいことが分かります。

その他

事業等のリスク

有価証券報告書の「事業等のリスク」の中に「「クックパッド」への依存について」という記載があります。クックパッドの事業の柱といえば、会社名にもなっている「クックパッド」に他なりません。この優秀なビジネスモデルにより大きな利益を獲得してきたわけですが、依存しすぎていることを会社としても認識しています。

 

競合他社の出現により苦戦している状況において、次にどのようなビジネス展開をしていくのか。注目しています。

まとめ

レシピサイトとしてのクックパッドは非常に優秀なビジネスモデルだと思います。

 

レシピを投稿する人と、それを活用する人を繋げる仕組み。クックパッドが用意しなければならないものは少なく、売上原価が抑えられます。これは損益計算書にもはっきりと表れています。

 

しかし競合他社の登場により状況は変わりました。思うように収益を増やすことができなくなっています。もともと参入障壁はそこまでなかったのでしょう。株価も低迷しています。

 

新たな付加価値創出のための準備期間であり、ある意味試されている期間になっています。

 

厳しい状況の一方で、それでも利益は出しています。もともと「クックパッド」というレシピサイトは非常に利益を生みやすいビジネスであるということが財務諸表からも見て取れます。

 

クックパッドは海外展開を進めているようでもあり、また会社としてもこのまま終わらせるわけにはいかないと、いろいろ考えているはずです。

 

僕としては今後の展開を楽しみにしている会社です。

 

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